君が不機嫌な理由

10/19
前へ
/411ページ
次へ
そして今日、冒頭に戻る訳なんだが… 「ふぅ。洸、いい加減にしないと唯人君がかわいそうですよ?」 そうだよ! もっと言ってやってよ弘斗! 大体、怒ってるくせに何で今日も抱きしめたまま動かないワケ!? 「もぅ…怒ってんのかそうじゃないのか、どっちかにろっての。」 そうボソリと呟くと無言でぺシっと頭を叩かれた。 …くそ、地味に痛いし。 「洸、せめて何で怒ってるのかだけ教えてよ…」 それが分からないと、謝る事もできない。 「…本気で分かんねぇの?」 「うん。」 どれだけ考えても理由は分からなかった。おかげで今日はいつもより寝不足が酷いんだよ… 少し悪態をついていると体がクルッと回転し、目の前に洸の顔が現れた。 「え、イリュージョン?」 「言ってろバカ。お前が軽すぎんだよ。」 なっ、人が本気で感心してたのに! どうやったらあんな簡単に人間が持ち上がるんだよ―…って、俺が軽いんでしたね。 「ふはははは。」 「…今さらヘコむなよ。」 ムチャ言わんで下さい。 これでも俺は男です…
/411ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2659人が本棚に入れています
本棚に追加