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■唯人side
あー…
今日もなんていい天気。
晴れ渡った青空が頭上一面に広がっている。
夏が近いために暖かい。
「ふぁっ。…ねむー…」
今は水曜の1限目。
俺らのクラスは体育。
よって俺は1人で屋上に居る。
「この眠さで朝から走れるかっての。」
何でも体育祭が近いらしく、その準備も兼ねて授業内容は長距離走。
はは、無理無理。
颯と千紘にサボると告げると「一緒に行く」とか言い出すから止めるのに苦労した。
「俺に付き合わせて成績を落とさせたくないからな。」
フェンスに凭れて顔を後ろに向ける。
金網の網目から、グラウンドをひたすら走っているクラスの皆が見えた。
「うげー…あれ何周走ってんだろう?」
次第に先頭集団とその後ろに差が広がり始める。
現在トップを走っているのは―…
颯と千紘と夕輝と奏太。
うん、まぁ予想通りだよね。
だって登山も学年トップだったし。
それにしても…
「何なんだよ、あの乱れぬ走り…」
特に疲れた様子も無く、何かを話しながら爽やかにトラックを走る4人。
千紘なんて後ろ向きに走って爆笑してる。
「…あいつらは無限の体力を持っているに違いない。」
本気で思った瞬間だった。
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