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しばらくグラウンドの様子を見ていたが、次第にそれも飽きてくる。
何度か寝ようと試みるが、結局は眠れずにイライラが募るばかりだった。
「くそっ、こんなに眠いのに何でだよっ!」
力任せにフェンスを殴ると、ガシャンッと大きな音が響いた。
「…ん?」
あれ、今…フェンスの音に別の音が混ざってたような…
小さい音だったけど、あの音って―…
キョロキョロと辺りを見渡すが人影は無い。
俺の気のせいか?
そう思った時、入口の裏の影で一瞬チカッと光ったのを捉えた。
「おい、そこに誰かいんの?」
さっき光った一点に目を凝らして声をかけると、黒い影がゆらっと動いた。
やっぱり、誰かいる。
「別に怒ってね―から出てこいよ。」
そう言うと建物の影から1人の男が出て来た。
制服のシャツの代わりにパーカーを着て、フードを深く被っている。
フードで顔を隠したそいつは俺の前に無言で立つ。
「座れば?」
自分の隣をポンポンと叩くと、そこに腰を下ろした。
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