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しばらく無言で隣に座るそいつを観察していた。
細身で俺より身長が高い。
顔はよく見えないけど、スッキリした綺麗な顎のライン。
…正体が気になる。
そいつに手を伸ばしてフードを下ろすと、こげ茶色の髪と瞳が俺を見下ろした。
この髪型、アシメウルフっていうんだっけ?
「おー…すっげーイケメン。」
「え、それはどうも。」
ハッ、俺声に出してた!?
慌てて手を離して距離をとる。
初対面の人に何してんだ俺っ!
「はは、そんな慌てんなよ。1年の姫川唯人くん♪」
「え、何で俺の名前…」
「そりゃ、例の動画事件以来、君は有名人だから。この学校で君を知らない人はいないと思うよ?」
…マジですか。
「そんな複雑そうな顔しないでよ。君のおかげで俺は大助かりしてるんだしっ!」
「え?何であんたが助かるんだよ?」
そこでコイツが手に持っている物を思い出してハッとした。
「まさか、お前…!?」
眼を見開いて見ると、ソイツはニッと不敵な笑みを浮かべた。
「やっと気付いた? 俺、写真部の綾瀬一樹(アヤセ イツキ)、3年。よろしくな。」
「よろしくしたくない。」
「即答っ!?」
いや、普通は仲良くしたくないだろ。
だって自分の隠し撮り写真を裏でばら撒いてた張本人が、この綾瀬先輩ってことだろ?
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