2659人が本棚に入れています
本棚に追加
「怖がらせてごめん。今のは唯人に危機感を持たせたかったんだ。」
「うん、分かってる。」
これは先輩の優しさだ。
分かってるから、そんな辛そうな顔と声をしないで。
「俺は、絶対に唯人が嫌がる事はしないって約束する。あ、写真は許してほしいんだけどね。」
「クス。ありがとう、先輩。」
先輩の方を向いて笑顔を見せると、先輩も安心したように笑った。
「分からない事や困った事があったら、いつでも俺の所に来い。助けてやるから。」
「それって頼るって事?」
「ん?ああ、そうだな!いつでも頼っていいし、甘えてもいいぞ!」
颯と同じ事を言った。
先輩にも甘えたり頼ったりしていいんだ。
なんだか嬉しくなって、自然と笑みが零れる。すると先輩がギューっと俺を抱きしめた。
「え、先輩!?」
「嫌だった?」
耳元で呟かれる優しい声。
「嫌…じゃないけど…」
今日初めて会った人だからか、妙に気恥ずかしい。
最初のコメントを投稿しよう!