三大勢力とパパラッチ

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そんな風に一人の1年を追いかけるようになって1週間が過ぎようとしていた。 今日も依頼を終えて部室でダラけると、俺が今までに撮った唯人の写真を見ていた友人が急に「ふっ、」っと小さく吹き出した。 「ふはっ。この写真の子、授業中はずっと寝てるんだね。」 「ああ、そーなんだよ。授業中に何度か撮りに行ったけど、起きてるとこ見た事ねーんだよなぁ…」 休み時間も食事や移動教室以外の時は大抵寝てるし。 アイツ、あんなので成績平気なのか? 「彼に少しは興味出てきたみたいだね。」 「俺が、コイツに?」 俺がアイツに興味を持った…? 机に散らばった写真の1枚を手に取って眺める。 「一樹がこんなに長期間、1つのものを撮るなんて初めてだろ?」 確かにそうだ。 でもそれは部費のためであって、手元にある写真一枚一枚に気持ちはこもっていない。 自分が撮った写真に何も思い入れが無いのは、好きなカメラに対して…そして姫川唯人に対しても、何だか酷く不誠実に感じられた。
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