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わっ、と唯人と颯の周りにチームメイトが集まる。
千紘に笑いながらも小突かれている唯人。
どうやら「バスケができない」とでも嘘をついていたのだろう。
「どんだけ体育したくないんだ、アイツは…」
はぁっ、と呆れたような溜息と苦笑いが出た。
バスケができるという事実が発覚し、唯人にもパスが回って来るようになる。
さっきよりも一方的な攻撃戦となり、思わず相手チームに同情してしまった。
試合が終わり、コートの外へと出て行く。
後半はずっと走りっぱなしだったので、酷く疲れたようだった。
「たったあれだけで…体力無さすぎ。」
唯人は友人2人に何かを告げて立ち上がった。
一緒に立ち上がろうとした颯を止め、1人で体育館から出て行く。
「…?」
2階の窓から顔を出し、体育館前の水道へ向かう唯人を目で追う。
水道くらい友人に着いて来てもらってもいいだろうに、なんて考えていた時―…
「―っ!?あぶなっ…」
唯人の身体が大きく傾き、その場にヘタリ込んだ。
とっさに手で水道の台に掴まった為、倒れるのは回避できたようだ。
「な…アイツ、体調悪かったのか?」
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