三大勢力とパパラッチ

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それから数週間、 唯人の観察を続けていた訳だが、この間のような事が度々起こった。 今も1人で、誰もいない階段でしゃがみ込んでいる。 そんな唯人の姿を見て、全てを理解した気がした―… いつも寝ているのも体育で動こうとしないのも、体調が悪かったから? こうなると分かっていたから? 唯人に着いて来ようとした片倉を止めて1人で出て来たのは、彼らに心配をかけたくなかったから? ―…ふと自分が今までに撮った写真の中の彼の姿を思い出す。 「全部、寝てるか笑ってるかだ。」 起きている時はいつも笑顔で、「体調が悪いのか」なんて疑問は抱かせない。 だからこそ、俺は興味を持たなかったのだろう。 いつも同じ顔で変化が無い。 でもそれは偽りで―…本当は誰も頼らずに、一人で苦しんでいたのだろうか。 差し伸べたくなる手をギュッと握り絞め、唯人とは反対方向へと足を進めた。
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