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「一樹、姫川君の所に行ってたんでしょ。何かあった?」
「何で…?」
「だって君、泣きそうな顔してるよ?」
「―…っ、」
バッと顔を上げると、頬に温かいものが一筋だけ流れた。
「俺、お前に言われてから…ずっと唯人を見て来た。」
「うん。」
「それで…いっぱい、分かったんだ。」
「うん。」
「そしたら、何か悲しくなって…」
片岡颯も美術部の奴らも、あんなに大切そうな目で唯人を見ているのに。
どうして誰も頼ろうとしない?
いや、むしろ甘えを知らないといった感じで。
それが、何故か酷く悲しかったんだ。
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