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俺の髪を掴んでる奴をキッと強く睨む。
「ははっ。そんな睨んでも、涙目に上目づかいじゃ可愛いだけだぞ?」
は?
何言ってんだコイツ…
つーか前髪離せっ!
ババッと顔を左右に振って男の手から逃れる。
あ、今ブチブチっていった。
絶対に数本抜けただろ、髪。
将来もし校長みたいに前髪が寂しくなったらどーしてくれんだ!!
「…そんな事になったら絶対許さねぇ。」
「あ?何か言ったか?」
男の声にハッとして、慌てて笑顔を作る。
「いえ、すみませんでした。荷物が重くて、前も見えてなかったんです。」
荷物の重さに耐えかねた俺は、怒りを押し殺して下手に出る事にした。
一刻でも早く先へ進みたい。
コイツらを相手にしているのは時間の無駄だ。
「あの、この荷物すごく重いんで早く運びたいんです。道を開けてくれませんか?」
これで先へ進める。
なんて思っていた俺は甘かった…
「あぁ?人にぶつかっといて何だ、その口の利き方は。」
「調子乗ってんなよ、チビ。」
―…プチンッ
「うっせーな。俺は廊下の端を歩いてたじゃねーか。山積みの荷物持ってんだろ!?ぶつかんねーように道くらい開けろよ!つか広がって歩くな、邪魔だッ!!」
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