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俺にキスしようとしていた奴が、掴まれていた腕を捩じられて呻き声を上げた。
「また病院、行く?」
「ぐっ、うあぁぁぁっ!!!!」
廊下に悲痛な叫び声が響き渡る。
だめだ、このままじゃ骨が折れる!
「もういいっ!やめろ湊!!」
「唯人…」
俺を助けてくれたのは湊だった。
パッと湊が手を離した途端、先輩は床に倒れ込んだ。
その先輩に仲間たちが駆け寄る。
そのうちの一人が湊を見上げて叫んだ。
「何で…お前が助けに来るんだよ!?」
その声は酷く怯えて震えていた。
冷たく鋭い視線で見下ろす湊に、みんな動けないでいる。
湊が無言のまま一歩前へ足を進めると、先輩たちはビクッと大きく肩を震わせた。
そんな先輩達の横を通り過ぎて俺の前に立つと、ポンと手を俺の頭に乗せ、もう一度先輩達の方へ向き直した。
「コレ、俺達の大事な子。」
"俺達"とはトップである洸率いる美術部メンバーのこと。
「次…手出したら許さない。」
「「「「―っ…!!!」」」」
そう言うと俺の方へ向き直り、荷物の山を奪って先へ歩き始めた。
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