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資料室に荷物を運び終えて息をつく。
「ふぅ…」
あー…マジで腕がダルイ。
湊が手伝ってくれてなかったら、きっと途中で落としてたかも。
お礼が言いたくて、チラッと前にいる湊の様子をうかがう。
―…が。
やっぱ、何か怒ってる…?
ここに来るまでずっと無言だった。
湊は無口で、自分から話す事はほとんど無い。だからそれはいつも通りなんだけど―…
雰囲気が違う。
いつもは黙ってても柔らかな雰囲気で落ち着くのに、今はどこまでも冷たいように感じる。
それが酷く寂しくて、耐え切れずに声をかけた。
「あ、の…湊。」
「ん、」
いつもと同じ、短い返事。
「その、手伝ってくれてありがとう。」
「ん、」
同じだけど―…
心がこもっていない。
自然と顔が俯いてしまう。
湊を見るのが怖い。
「さっき…助けてくれて、ありがと。」
「…」
返事が無い代わりに足音が近づいてきた。
俺の前に立った湊と自分の靴を見つめていると、無理やり顔を上げさせられた。
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