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俺にすり寄ったまま湊が口を開いた。
「さっきの、質問の答え。」
「え…?」
そう言えば…
湊がこんな表情になったのは、俺が質問に答えてからだ。
「迷惑なんて思ってない。」
ギュッとさっきより強い力で抱きしめられる。
「俺が怒ってたのは、唯人が自分から危険な方向に行動をとった事と…最後まで助けを呼ぼうとしなかった事だ。」
「…」
「どうして頼らない?」
泣いてしまいそうな、震えた声。
「俺達、いらない?」
ごめん、ごめんな…湊。
お前が俺をそんなに大切に、仲間って認めてくれてるなんて思わなかった。
すげー嬉しい。
でも、だから頼らなかったんじゃない。
「…分から…ないんだ…」
「え、唯人…?」
声が詰まってうまく出ない。
バッと勢い良く湊と体が離れたと思った瞬間、驚いた顔の湊と目が合う。
「何で…泣いてる?」
「え…?」
そう言えばよく前が見えないや。
頬にも何かが伝う感触がある。
「…唯人?」
心配そうに俺の顔を覗きこむ湊に、大丈夫だと笑ってみせた。
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