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俺の肩に頭を乗せた湊がそのまま話すから、耳元で湊の声が響く。
その度に背筋がゾクッてして、肩が小さく跳ねる。
なんだ…コレ。
湊の声は凶器だと思った。
…でも、そんな物騒で怖いものじゃない。
もっと穏やかで優しい。
それでいてどこか深みがあって…
まるで夜の静かな海を連想させる。
だけど確かに、俺の思考と動きを封じるような力がある。
そっか…これは毒だ。
甘く、神経を麻痺させる毒。
「…これも表現が悪いなぁ。」
「唯人?」
「へ!?いや、何でもない!」
うっかり口に出してしまった事と、自分の表現力の乏しさのダブルでヘコんでしまった。
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