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■湊 side
洸は唯人の顔に視線を落とした。
穏やかな寝息を立てている様子を見て小さく微笑んでる。
大事にしてるんだ、唯人を。
洸は顔を上げて俺を強く睨みつけた。
「湊。」
洸の低くドスの利いた声に全員の脚が止まる。
「…」
俺も脚を止めて洸と真っすぐ向き合った。
返事をしなかったのは、洸が何を言いたいのか分かっているから。
「お前、唯人のこと泣かせたよな?」
「…ん。」
返した返事は短かったけど、胸の中は後悔や悲しさ…たくさんの感情が渦巻いてる。
今日の唯人との会話を思い出して、またチクリと痛んだ胸を押さえて俯いた。
「おい湊、こっち来い。」
「ん。」
今の洸は唯人を抱き抱えていて両手が塞がっているから、殴られる事は無いだろう。
あ―…でも、
蹴りを食らうかもな。
そんな事を思いながらも、真っすぐに洸の前へ向かう。
唯人を泣かせたのだから仕方ない。
でも…
さすがに骨は折って欲しくないかも。
ドゴッ
「―…っ、」
…あれ?
「何呆けてんだボケ!」
「え…頭突き?」
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