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本気で病院送りを覚悟して洸の元へ向かったんだが…
予想を大きく外れた「頭突き」を食らった。
「なんだよ。もっと痛い方がいいのか?」
「いや…」
頭突きでこの威力はヤバイ。
さすが洸…頭がクラクラする。
「じゃあ何だ、お前は俺の事を理由も聞かずに仲間を殴る奴だとでも思ってたのか?」
「そこまでは…思ってない…」
でも、自分達にとって大切な唯人を泣かせた事に、もっと怒られるのだと思っていた。
「確かに唯人も大事だけど、そんなの全員一緒だっつの。」
「洸…」
予想外の発言に、思わず言葉を失った。
「さっき、スゲー辛そうな面してただろ。何があったか聞いてやるから、気合い入れ直せボケ。」
そう言って一人スタスタと歩き始めた洸。…この短時間に二回もボケって言われた。軽くショック。
「ふふっ、洸ってば照れちゃってますねー。」
「確かに所々恥ずかしいセリフあったもんねぇ~。」
「でもま、流石は俺らのリーダーって感じやん♪男前やと思うで?なぁ、湊?」
「ん…そうだな。」
ちゃんと見ててくれた。
話を聞いてくれる。
誰も特別扱いしない。
みんなを大事にしてくれる。
―…洸が俺たちのリーダーで良かった。
洸に気付かれないように小さく微笑み合って、随分先へ行ってしまった洸の元へ駆け寄った。
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