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■No side
手の塞がった洸の荷物を新が。
未だに眠ったままの唯人の荷物を千紘が、今日の罰として持たされていた。
下駄箱で靴を履き替えている時、どうやら唯人の携帯に着信が入ったらしい。
「バイブ長いし電話だよねぇ?」
「でも勝手に出たらアカンでな?」
少し落ち着きを取り戻した千紘と新だが、まだどこか落ち着かない様子でソワソワしている。
…これはこれで…
イラっとくる。動きが。
そんな事を思いながらも、見かねた弘斗が手を差し出した。
「はぁ…その携帯、貸して下さい。」
携帯を受け取った弘斗は躊躇することなく着信相手を確認する。
「親ではないようですね。」
保護者からの連絡なら、今の唯人の状況を知らせようと思ったのだが…
画面に映し出された名前は『ケンゴ』。
「友達か?」
「さぁ…あ。」
思考を走らせている間に着信が切れた。
「千紘。唯人君の友達に『ケンゴ』という名前の人はいますか?」
「え、『ケンゴ』?姫ちゃんとは毎日一緒に居るケド知らないなぁ。」
「じゃあ、中学ん時の友達とかちゃう?」
ブーブーブー…
「「「「「あ。」」」」」
着信相手は『ケンゴ』。
「仕方ない。」
はぁ、と溜息をついた弘斗は―…
「「「「え、」」」」
ピッ
「もしもし。」
電話に出る事にした。
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