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「こんばんは。さっき電話に出させていただいた佐久間です。」
「あ、さっきはどーもです。」
「こちらこそ。知り合いの方と連絡が取れて良かった。」
そう言って微笑んだ弘斗だが、あの顔はまだ守山を信用しきっていないな。
唯人とどういう関係なのか、疑ってるんだろう。
「荷物もありますし、お家まで同行させてくださいね。」
「唯人と荷物くらい余裕だけど、お言葉に甘えさせてもらいます。」
そう笑った守山も、俺たちと唯との関係を気にしているのだろう。
互いに懐の探り合い。
けれど嫌な感じがしないのは、守山から敵意が感じられないからだ。
「なーんか、不思議な感じの人だねぇ。あのケンゴって人。」
「せやなー。洸の事、全然ビビってなかったで?」
「僕らの事…知らない、とか?」
他校の生徒…というか地元に住んでりゃ大概の奴は俺たちの事を知っている。
ほとんどの人は姿を見るなり逃げ出すし、ある事ない事を噂する。
あ。
そういえば、この間他県の奴らが俺らのとこに攻めて来たな。
…いつの間にやら有名人。
なぜだ。
「僕たちの事を知らない人なんて、この街では姫ちゃんくらいだと思ってたけど。」
「類は友を呼ぶってやつちゃう?」
そんな会話が聞こえたのか。
守山が俺たちの顔を見渡して口を開いた。
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