君との距離

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■洸 side 弘斗にしては手短に済まされた説教を食らい、本題に戻ろうとした頃。犬と一緒に新と千紘も話に加わった。 守山と打ち解け、この中で一番唯人といる時間が長い千紘が、守山の横に腰掛けて話し始めた。 「姫ちゃんねー、学校の間ずーっと眠りっ放しだよ!体育の時もフラフラで、体調悪くても言ってくれないの。」 「あぁ、唯人って人を頼らんでな。好かれてるのは分かるけど、なんか距離を感じてまうねん。」 「俺らから触る事はあるけど、唯人から触れてきた事は一度も無いしな。」 「今日、唯人が3年に囲まれてて…俺が見つけなかったら危なかった。」 シーン… 最後の湊の発言に、全員の動きが止まった。 「湊、それホンマ?」 「何だソレ…聞いてねーぞ。」 「資料室に行く途中に絡まれたみたい。俺が見つけたのは襲われる寸前で…正直ヒヤっとした。」 普段の何倍もの言葉を湊が話す度、全員の顔が青ざめてゆく。 もし、少しでも発見が遅れていたら… もし、湊がその道を通らなければ… そんなこと、考えたくも無い。
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