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後ろから「お兄ちゃんっ!!!」って叫ぶ桃花の声が聞こえて、急いで階段を降りる。
あと数段ってところで目の前に人が現れて、勢いを殺す事ができずに俺は誰かの胸に飛び込んだ。
「!?」
「うわっ!…え?」
いや、
『誰か』なんて分かり切ってる。
この声も、匂いも、体温も。
勢いよく飛び込んだのに倒れることなく俺を受け止めて、逃げないように強く抱き締める腕も。
「おい、唯人!どうした!?」
「はっ…はぁ…離、せっ」
全部ぜんぶ、良く知ってる―…
「唯人、大丈夫だから!」
「やだっ…離せ!離してっ…」
お願いだから、離して。
俺が暴れれば暴れるほど、抱き締められる力が強くなる。
ダメだよ。
俺はもう、お前や桃花の側にいる資格はないんだから。
ずっとずっと、側にいたい。
だから離して
近づかないで
お前に嫌われるのが怖いんだ
―――――――剣吾…
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