秘密

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さっきから感じてる剣吾の手とか体温とか匂いとかが本当に久しぶりで… 中学の卒業式以来だから、3カ月は会ってなかった事になるのかな。 改めて見た剣吾の顔は、笑ってるけど悲しそうで… 俺がそんな顔させてるの? 俺が弱虫で、剣吾から逃げたから? 嫌だ。 ゴメンね。 嫌だ。 笑って。 「…もう逃げないよ。」 小さく呟いて全身の力を抜いた。 久しぶりの心地よい感覚に身を任せて目をつむれば、ピタリと剣吾の手が止まった。 「っ、」 「剣吾?」 「…このバカ。」 何かに耐えるみたい眉間にしわを寄せて、頭に乗せていた手が顔の輪郭をなぞるようにして頬へ滑り落ちてきた。 「剣吾…?」 「バカ。無自覚バカ。」 「はぁ?」 バカ連呼すんじゃねーよ。 つか無自覚ってなに。 「もぉ―…お前、洸先輩らの前でもそうなわけ?」 「意味分からん。」 「あぁぁぁぁぁ―…」 奇声を発しながら自分の頭を抱えて床をのた打ち回る剣吾… ゴロゴロゴロゴロンゴロゴロ… え、何これキモイ。
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