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あぁぁぁぁぁ―…
顔、絶対に赤いっ!
剣吾に好きって言われた事は今までに何回もあった。けど、今回は本気度というか、『好き』の度合いが…重みが違う。
それは、さすがに鈍いと言われる俺にも分かった。
今までで誰かに告白された事がなかった訳でもない。
けれど、こんなに動揺して、顔が火照って、どうしていいのか分からなくなるなんてのは初めてだ。
心臓が、どくどくウルサイ。
酷く緊張して手に汗がにじむ。
とてもこんな顔なんて見せられなくて、慌てて俯くと剣吾の体が一瞬ピクリと強張った。
「?」
どうしたのかと視線を上げる。
視線が交わった途端、剣吾の目が驚いたように大きく見開かれた。
そしてすぐに、ふい、と視線を横に反らされる。
そして形のいい眉を悩ましげに寄せ、何かに耐えるように唇を強く噛み締めている。
「だめ、唇切れるよ。」
両手で剣吾の頬を挟んで顔をこちらに向けさせる。そして目が合って―…
あぁ…
俺はこの目を知ってる。
昔の俺と、同じ目だ。
「大丈夫だよ、剣吾。だからそんなに怖がらないで。」
そう。
これは、大切な者に拒絶されることに怯えている目だ。
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