秘密

17/56
前へ
/411ページ
次へ
以前は何の躊躇いもなく伸ばされていた手。 それが今は、俺に触れることなく落ちていった。 その様子を目で追っていると、剣吾が苦しげに口を開いた。 「唯人の事、泣かせたい訳じゃなかった。 ただ、どうして唯人が俺と距離を取るようになったのかが知りたくて… 自分が気付かないうちに、唯人に何かしたかなって…唯人を好きな気持ちが強すぎて、『親友』のラインを越えちゃってたんじゃないかって怖くて… 俺が一人で焦ってビビって、唯人に気持ちを伝えたくて、唯人の気持ちが知りたくて。 俺の秘密を話すから唯人も話してくれ、なんて自己満足だよな。 ずっと親友だと思ってた奴が、本当は恋愛感情を隠し持ってたんだ。 何を言われても文句はない。受け入れる覚悟もした。 許してくれなんて言わないし、許されるとも思ってない。 だけど唯人。 本当にお前を泣かせたくはなかったんだ―…ごめ「謝るなっ!!」っ…!?」
/411ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2659人が本棚に入れています
本棚に追加