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以前は何の躊躇いもなく伸ばされていた手。
それが今は、俺に触れることなく落ちていった。
その様子を目で追っていると、剣吾が苦しげに口を開いた。
「唯人の事、泣かせたい訳じゃなかった。
ただ、どうして唯人が俺と距離を取るようになったのかが知りたくて…
自分が気付かないうちに、唯人に何かしたかなって…唯人を好きな気持ちが強すぎて、『親友』のラインを越えちゃってたんじゃないかって怖くて…
俺が一人で焦ってビビって、唯人に気持ちを伝えたくて、唯人の気持ちが知りたくて。
俺の秘密を話すから唯人も話してくれ、なんて自己満足だよな。
ずっと親友だと思ってた奴が、本当は恋愛感情を隠し持ってたんだ。
何を言われても文句はない。受け入れる覚悟もした。
許してくれなんて言わないし、許されるとも思ってない。
だけど唯人。
本当にお前を泣かせたくはなかったんだ―…ごめ「謝るなっ!!」っ…!?」
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