秘密

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そんな俺の思考をまるで読んだかのように、俺の顔をジトーって目で見てくる剣吾。 え、何だよその目… 確かに今の俺の思考は対ペットにシフトされてしまっているけども。 これは犬かわいい剣吾が悪い。 あ、また新しい単語が生まれた。って、そんなのはどうでもよくて!! 「け、剣吾…?」 「唯人。」 「は、はい。」 やたら真剣な目の剣吾。 え、マジなんなの…? 「本当にぎゅってしていいわけ?」 「?だから、いいって言ってるじゃん。 そもそも今まで散々抱き合って来たのに、なんで今更確認取るんだよ?」 俺がそう告げた途端、今までのワンコはどこへやら。 まるで信じられないものを見るような目で「あ―…もう、マジないわー…」と、何とも失礼な発言をされた。 「む…何なんだよ、さっきから。」 「あのね、俺は唯人が好きなの。」 「お、おう…」 何だよ、改まって言われると照れるだろ。 「フラれたからって、好きって気持ちは簡単に無くならないんだよ?」 「…うん」 そりゃ、そうだろな。 フラれたから「ハイ、そうですか」ってすぐ気持ちを切り替えられる程度の想いなら、剣吾はこんなにも悩んで苦しんだりする事は無かった。
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