秘密

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「唯人は鈍感だから分からないかもしれないけど…俺を含めて、唯人にこうやって触れてくる奴は、大抵あるモノを隠し持ってるんだよ。」 あるモノを…隠し持ってる? 大抵の奴って、洸や千紘や颯も持ってるってこと? 「それ、剣吾も持ってるのか?」 「もちろん。悪いけど、俺は唯人大好きだからね。」 「なっ////…なに、隠し持ってんの。」 真っ向から「好き」とか言われて、当然照れないはずもなく… 顔を背けてぶっきら棒に尋ねれば、「ふっ」と小さな笑い声の後、無防備に晒された首元に柔らかな熱い感触と「ちゅっ」という可愛いリップ音。 「ひゃっ!!?」 ビクリと大きく肩を跳ねさせて、反射的にバッと剣吾の方へ顔を向けた。 剣吾は満足気な笑みを浮かべて、俺の方に擦り寄って来る。そして再び耳の側に唇を寄せて―… 「好きな相手に持つモノなんて決まってるじゃん。 ―――…下心、だよ。」 思わず仰け反る程の甘い声で、とんでもない爆弾を投下した。
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