秘密

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散々泣いて、泣き尽して、やっと涙が止まった頃には随分時間が経っていた。 今俺の涙の残量は間違いなく0に等しいに違いない。それほどまでに泣き尽した。 泣きすぎて酸欠になったのか、頭が酷く痛む。意識もやや朧げで、そんな俺を剣吾が優しく労わってくれている。 そう、労わってくれているのは結構なのだが… 泣きはらした目元に優しいキスを落とされる度に、肩がピクリと小さく跳ねる。 背中に走るゾクリとした感覚から逃れるように、剣吾にしがみ付いてフルフル体を震わせていると、ぎゅうっと先程より強い力で抱き締められる。 なんか「ヤベー」とか「かわいい」とか「相変わらず敏感」だとか呟いてるけど、とにかく黙れ。 耳元で呟くんじゃねーよ。 駄犬って呼んだろか、コンチクショウ!! 先程のしんみりさは何処へやら… 180°どころか360°回転して、剣吾のワンコモードが発動した。 なぜだ、どこでスイッチ入った。 泣きやんだと言ってもまだ瞳は潤んでるし、なんだか頭がボーっとする。それだけでも参るのに、加えてこの頭痛… その結果、ワンコモードの剣吾に俺がキレるという現在の状況が出来上がった。
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