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その言葉に一瞬手が止まって、深く息を吸い込んでから再び撫でる手を動かした。
「話すよ、全部。
まぁ…そんな大した話じゃないんだけど。
本当に、さすがの剣吾も愛想尽かすんじゃないかってくらい、我儘で勝手な話だよ。」
「それでも聞きたい。
どんな話でも笑わないし、きっと愛想も尽かさない。
今日、どれだけ俺が唯人を好きか分かったろ?そうそう簡単には嫌いになってあげられないよ。」
そう言って笑う剣吾に、
あぁ、だから「俺も話すから唯人も話して」って言い出したんだと、唐突に理解した。
何があっても嫌いにならないから、安心して話せるようにと。
一生告げる気の無かった想いを曝け出してまで、俺のために…
「本当、どんだけ優しいんだよ…」
「ん?なにが?」
「何でもない。…ありがとう。」
好きな人に拒絶される。
それはどれほど怖いものか、俺は知ってる。
そんな思いを覚悟してまで、俺のために先に全てを打ち明けてくれた剣吾。
だから、俺も全てを話すよ。
今まで隠してきた、俺の醜い部分を全部。
だからどうか、聞いてほしい。
俺の身勝手なくだらない話を。
さすがに今回ばかりは「嫌いにならないで」なんて言えないなぁ…
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