秘密

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取りあえず密着していた体を離してもらった(言わずもがな、すんごく嫌そうだったけど)。 壁に背を預けてベッドの上で膝を抱えるように座り直すと、剣吾も黙ってそれに倣い、胡坐をかいて腰を落ち着けた。 今にも触れ合いそうな肩越しに、互いの緊張を感じ合う。 「…何から話そうか。」 再び訪れた静寂の中、ポツリと呟いた声がやけに大きく響いた。 発した声は意外にも穏やかで、緊張や恐怖感はあれど落ち着いている。 『どんな話でも笑わないし、きっと愛想も尽かさない』 『今日、どれだけ俺が唯人を好きか分かったろ?そうそう簡単には嫌いになってあげられないよ』 さすがの俺も、剣吾の言葉を鵜呑みにする程バカじゃない。 剣吾を信じていない訳じゃないけど… 俺の話を聞いてどう思うかは、それこそ神のみぞ知る、だろ?
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