秘密

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…なぜに救急箱が最高基準? 他人の家の救急箱の収納場所を知っている事は、すごい事なのだろうか? というか、 「俺の家に救急箱なんてあったのか。」 その事にビックリだ。 「あったあった。怪我した時とか熱出した時に看病してやっただろ。」 あぁ。されたな、看病。 でもあれは剣吾の家のモンだと思ってた。 うむ… 確かに家主以上に家の事を知っているようだ―…って違う!! 「そうじゃなくて、親の事とか…」 「あぁ、そっち?」 「うん、そっち。」 「家庭内状況ってやつね。 そうだな、確か―… 唯人の両親はバリバリ仕事できる人達で、同じ職場に勤めるエリート同士の結婚だった。 結婚しても唯人が生まれても、仕事が優先。 自宅には滅多に帰らず、唯人は実質、両親が雇った家政婦の『杉下さん』に育てられた。 唯人が小学5年の時に両親は会社を辞めて独立。海外を拠点とする企業を立ち上げ、以降両親は海の向こうで生活している。 ちなみに父親が社長、母親がその秘書を務めている。 ―…くらいなモンかな?」 スラスラと事実のみを簡潔にまとめて話し終わった剣吾は「ふう、」と小さく息を吐いた。 うん…これは思いの外早く話が終わるかもしれないな。
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