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今あるものでは満足できず、より上を求めるのが人間という生き物の大多数。
毎日必死で働いて稼いで子供を養って…笑顔や幸福感はあれど、やはり不満や今以上を求める欲望が消える事は無い。
そんな中で、まだ30にも満たない若い夫婦が、自身らの力だけで周囲のどこよりも大きな財産を手にし、子どもが生まれても子育てに追われる事もなく、いつでも自分の行きたい道を自由に歩き続けている。
世間一般ではそれを「常識知らず」や「育児放棄」などと言って批難するであろう行動だが、それでもやはり、心のどこかで「自分もあんな風に自由に生きたい」「多くの縛りから解放されたい」という気持ちがある。
が、現実問題、俺の両親のように家庭を捨てる事はできない―…
そんな当の大人たちですら無意識であるかもしれない心の葛藤を、当時の幼い俺が理解できるはずもなく…
俺が全てを理解したのは、中学を卒業した…剣吾と離れる事を決意したあの日。
あの日起こった誰も知らない事件の時―…俺は全てを知る事となった。
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