期待と現実

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「超かわいい~。お人形さんみたいだよぉ!」 意味の分からない事を叫びながら俺に覆い被さって抱き付き、スリスリと頬ずりをしてくる少年A。 …あのね、君。 教室の床って固くて痛いの知ってる? 地味に背中と後頭部が痛いんだけど。 そんな事お構いなしに、どんどん抱きつく力が強くなる。 んっ、さすがに苦しいって… はーぁ、しょうがない。 アレ…するしかねぇか。 「おい、お前名前は?」 「んー?僕は片倉千紘(カタクラ チヒロ)。千紘って呼んでね♪」 「じゃあ片倉…」 「千紘って呼んで!」 「あー、千紘?」 「うん!なぁに?」 「そろそろ、離してくれないかな?」 そう言って俺がニコッて笑顔を見せると千紘の動きが止まった。 よし、成功! これは中学の時の友達が教えてくれた必殺技! 俺の笑顔のキモさで動けなくなるのだ。 今のうちに逃げる! 体をねじって抜けだそうと試みた瞬間、 「いだっ、痛い痛いっ!!」 さっきより強い力で抱きしめられて悲鳴を上げた。
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