君の知らない過去

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少年の質問の後、みんなの視線が一気に唯人に集まる。 「!!!」 突然の注目を浴び、焦った唯人は思わず隣に居た剣吾の背に隠れた。 「わっ、唯人?」 「僕、知らない…」 「え?」 「テレビ観ないから…分かんない。」 「「「えぇ!!!?」」」 幅広い層に人気で視聴率の高い有名番組だったので、それを知らない唯人に驚きの声がある。 それ以前に、個人差はあるにしろテレビを全く観ない小学生は珍しい。 「観た事なかったの?」 「じゃあ●●●とかも知らないの?」 「お笑い芸人とかも分からないんだ?」 「えー、家帰って何してんだよ。」 まさに質問の嵐。 何とか必死に対応しようと、唯人は最後の質問にだけ答えた。 「家帰ったら、勉強する。」 「うげーっ勉強!?」 「偉いなー。そういや頭いいもんな。」 「塾に通ってんの?」 また最期の質問に答えるため、首をふるふると横に振る。 「塾じゃなくて、杉下さんが教えてくれる。」 「「「杉下さん?」」」 「って誰だ?」 「さぁ…あ、カテキョじゃね?」 またもや首を横に振る唯人。 クラスメイトは軽く困惑状態。 そして彼らの混乱は唯人の発言でさらに大きなものとなる。 「杉下さんは、俺のご飯作って、勉強教えて、家の掃除してくれる人。」 「「「「「は?」」」」」
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