君の知らない過去

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あくまで〝仕事″をしている杉下さんに、学校や友人の話をするのは違う気がして、家での会話は必要最低限なものだった。 それに彼女がいるうちに早く布団に入ってしまいたかったから、無駄な会話をしている暇は無い。 パクパクご飯を食べて、勉強を教わって。 急いで入浴を済ませてベッドに沈む。 あとは、玄関から「パタン」という無機質な音が聞こえてくる前に、眠りに堕ちてしまうだけ―… こんな風に自分を守るために何年も繰り返してきた『日常』が、俺にとって大きなハンデになるなんて… 俺自身でさえ、誰も気づくことができなかった。
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