君の知らない過去

25/51
前へ
/411ページ
次へ
あと、小学生といえば運動だな。 ガキの運動量をナメてはいけない…。 毎日杉下さん特製のご飯を3食きっちり食べてたし、夜の8時には就寝するから体力は十分にある筈だったんだが―… なぜかバテるのが早い。 運動神経は問題ないらしく、大概のスポーツなら要領よくこなせた。 けれど体力がすぐに切れてヘバってしまうのが難点だった。 だから休み時間は断然教室派。 静かな図書室で過ごす穏やかな時間も好きだったが、今思えば我ながらガキらしくない奴だったな、と思う。 でも運動バカで活発で明るい剣吾と仲良くなって、自然と人の輪や陽射しの外に連れ出されるようになって―… 「どう?疲れるかもだけど、お日様の下も気持ちいいでしょ!」 澄み切った青空を背に、満面の笑みを浮かべて両手を広げる剣吾。 「うん、そうだね。」 その姿が眩しくて目を細めた。 苦手だった人の輪も、降り注ぐ日差しの中も。 「剣吾がいるなら楽しいや。」 そう笑ってみせれば、またあの満面の笑みを返してくれた。
/411ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2658人が本棚に入れています
本棚に追加