君の知らない過去

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頭を超高速でぐるふる回転させて、「あ。」と1つ思い当たる。 剣吾と手を両手でそっと持ち上げて、ポフンっと自分の頭に乗せた。 「え、と…唯人?」 ビックリした顔。 ちょっと困ってるようにも見える。 …やっぱりダメだったかな。 でも、やってほしい事、言えって言われたし… 何だか無駄に緊張する。 ダメだったらどうしよう、って少し怖い。 実の両親にすら、言った記憶のほとんどないワガママ。 チラリと剣吾の様子を伺えば、俺の頭に手を乗せたまま優しく微笑んでいる。 柔らかく細められた目が、温かな表情が、「どうしたの?」って言ってる。 大丈夫、言ってもいいんだ。 「さっきの、して。」 「さっきの?」 「うん。頭、撫でるの…して。」
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