君の知らない過去

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広いベランダに出て洗濯物を取り込む。 それを綾香さんが綺麗に畳み、服の持ち主ごとに分けて積み重ねていく。 「綾香さん、これで全部です。」 「ありがと。じゃ、唯人も畳むの手伝って。」 「はい。」 綾香さんの正面に腰掛けて、男物の服を慣れた手つきで畳んでいく。 そんな俺を「せっかくのチャンスじゃない。」と笑って茶化す綾香さん。 いや―…普通に女性の衣類に触れるのは気が引けるからね?マジで。 ほんと、こういう所は意地が悪い。 「あっははは!そう拗ねないの。」 むむ… 拗ねてなんかないですー。 「可愛い奴め。あ、畳むの上手くなったね。」 「! ほんとですか?」 「うん、文句なし。」 褒められた、嬉しい! 全身から喜びオーラを撒き散らしていたらしく、「ほんと可愛い子ね。」と頭を撫でられた。
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