最後の日へのカウントダウン

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数週間後の朝。 今日は月に1度の杉下さんが訪問する日で、顔を合わせて早速パソコンのパスワードを知らないかと尋ねてみた。 朝から予想外の質問を投げかけられて、いつもの無表情が驚きの色を強くした。 「パスワード、ですか?」 「うん。母さんからメールが届いてるんじゃないかって思ってさ。」 何気なく発した俺の言葉に、杉下さんの目が僅かに見開かれる。が、それもすぐに戻された。 「パスワードなら分かりますが…」 「ほんと!?」 「ええ、今すぐパソコンを使用しますか?」 もちろん二つ返事で頷く。 すると杉下さんは踵を返して書斎へ向かったので、俺も慌ててその後を追う。 書斎の中央にあるソファに腰掛けて待つよう促され、大人しく指示に従う。 そのまま杉下さんは奥の机へと進み、カチッとパソコンを起動させた。
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