期待と現実

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体育館にはもうほとんどの生徒が揃っていた。 どうやら自由席らしいので空いている席に座る。 あ、ちゃんと横の人に挨拶したよ! こういうのって初めが肝心だもんね。 それからしばらくして入学式が始まったわけだが―… うん、ぶっちゃけ暇。 すっげー暇。 椅子に腰かけて、何度も大きな欠伸を漏らす。 「…ねむい。」 涙の溜まった目を擦る。 実は昨日の夜はワクワクして眠れなかったんだよ… はぁ、ガキか俺は… 小さく溜息を漏らすと、右から声をかけられた。 「眠いなら寝ていいよ。」 「え?」 声の方に顔を向けると、黒髪の整った顔をした奴が笑いかけていた。 「式終わったら起こすから、それまで寝てな?」 キレイで柔らかな笑顔。 すげーイケメンだな、コイツ。 「いいのか?」 「うん。校長の話、まだ長そうだし。」 チラッと舞台の方を見ると、頭が寂しく思えるオヤジが話を続けていた。 「んー…じゃあ頼む。」 初対面なのに申し訳なく感じたが、せっかくの好意だ。 甘えさせてもらおう。 重くなってゆく瞼に逆らう事なく目を閉じる。 「ん。おやすみ。」 そいつの声を最後に、俺は眠りに就いた。
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