オオカミと美術室

グラウンドゼロ

何度も引き止める剣吾たちを振り切って、笑顔で守山家に手を振った。

閉まっていく扉の向こうに、情けなく眉を提げた剣吾が見えたけれど

「これでいい」と

「もっと早くこうするべきだったのだ」と

ジクジクとした胸の痛みに気付かないフリをして

真っ白な世界に足を踏み出した。