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『ねぇ。あの子、姫川さん家の…』
『本当、今年も剣吾くんと一緒なのね』
昼間のお使いに行ったときに聞こえた声。
囁くような、けれど気持ちのいいものではないソレを聞きたくはなかったけれど、耳に届いてしまったものは仕方がない。
ちらりと剣吾の方に視線を向けると、ケーキ屋のおじさんと楽しそうに会話している。
こちらに気付いた様子はない。
(ふぅ、なら良いか…)
剣吾は俺が悪く言われる事に、過剰なんじゃないかって程に反応を示す。
陰口の対象である俺の何倍も怒って、そして悲しい顔をする。
何度「お前が悲しむ必要はない」と言っても、「唯人が平気な顔をしているから、余計に悲しくなるんだよ」と歪んだ顔で返されるばかり。
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