好物が招いた危機

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呆れた様子の2人に縮こまる俺。 うっ、二人の視線が痛い… チクチク刺さってるよ、二人とも! 俯いてプルプルしていると、頭に大きな手が乗せられた。 「ずっと寝てるからだぞ?後でノート貸すから写しとけよ。」 チラリと視線を上げれば、やっぱり優しい颯。 「もうっ。ずっと寝てるからだよ、姫ちゃん。」 ぷくっと頬を膨らます千紘。 なぜ男子高生なのにこの仕草が普通に似合ってしまうのか… 美形は謎でいっぱいです。 美形って言えばさ、颯もかなりのイケメンなんだ。 千紘もその辺の女子より可愛い顔してる。 その2人に挟まれて廊下を歩く俺。 ふと周囲に気を気張ると、色んな奴が俺を見てる…? 「うわぁー、俺を見るな!」 「え、何!?」 「どーしたの姫ちゃん!」 急にしゃがみ込んで顔を隠す俺を、2人が心配そうに覗き込む。 「いきなりどうしたの、唯人。」 「う、颯ー…どうしよう…みんなが俺の事見てる気がする。」 自意識過剰なら、むしろそのほうが良い! 「え、今さら気付いたの?」 「ふぇ?」 若干半泣き状態の俺。 「唯人は入学式でも教室でも、注目の的だよ?」 え、マジですか… みんな思わず注目しちゃうほど、俺ってヒドイ顔してたのか!? さすがにそこまで悲惨だとは思ってなかった… そんな俺が美形なこいつ等に挟まれて廊下を歩いてたら―… 余計に醜さが際立つじゃないかぁ!!! 俺は立ち上がってスタスタ1人で歩き始めた。
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