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ピシリと固まって動かない俺に、千紘が顔を傾ける。
「姫ちゃん?あ、もしかして唇の方が良かったぁ?」
そう言って怪しく微笑み、ふにっと俺の唇に人差し指を当てる千紘。
なんか危ない!
俺の中の何かが危険信号を発している!
「いや、いい!結構です!」
「なんでー?遠慮しなくていいよ。」
「全然してない―…って、きゃあっ」
身の危険を感じて体を反ると、バランスを崩して颯の膝の上に仰向けで倒れ込んだ。
き、きゃあって、女の子じゃあるまいし…
「ご、ごめん颯…」
青空を背景にした颯と目が合う。
逆光で眩しい。
「ん?大丈夫。大変だね、唯人は。」
優しく頭を撫でて微笑む。
いや、撫でる意味が分からない。
―…まぁいいか。
しばらく匿ってもらおう…
「あ、唯人。クリームついてるよ。」
俺の頬に付いたクリームを指で拭って、その指をペロッと舐めた。
「本当だ。甘いね、コレ。」
「…あ、ありがとう。」
顔をキレイにしてくれた事には感謝する。
だがしかし…
お前も千紘と同類かっ!?
まぁ、直接舐められなかっただけマシ…なのだろうか?
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