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今の美術部は不良の溜まり場。
そこに所属する千紘や俺は、一般生徒からは恐れられる存在となる。
そしたら俺に普通の友達ができなくなるって、千紘は心配してくれているんだ。
俯いたままの千紘。
俺はフッと笑って、千紘の頭をポンポンと叩いた。
「…??」
恐る恐る顔を上げる千紘。
はは。
なんか捨てられた子犬みたい。
「心配してくれてありがとな。」
「姫ちゃん…本当に分かってる?」
分かってるよ。
きっとこれから俺は、学校中の奴から色んな目で見られるんだ。
畏怖や軽蔑、好奇心、敵対心といった、快くないもので。
だけど…
「美術部は俺が望んで入ったんだ。強制じゃないだろう?」
「でも!姫ちゃんは何も知らずに来たじゃない。」
「確かに。でも、知った後も美術部に居たいって思ったんだ。」
千紘やみんなと居たいって思った。
「だから千紘が気に病む必要は無い。」
「姫ちゃん…」
「それに、周りの目なんて俺自身の力で変えてやるっ!」
そう笑って胸を張れば、千紘の目がうるうると揺らぎ始めた。
「うっ、姫ちゃ~ん!!!」
「うおっ、」
ギューッ
「はは。泣くなよ千紘。」
「だっで…グス、姫ちゃん大好き。」
ギュッと俺も千紘を抱き返す。
「俺も大好きだぜ、千紘。」
「!! /////」
抱き合っている千紘の体温がどんどん高くなっていく。
「ははっ。唯人って普段は可愛いくせに、こういう時は男前だな。」
「うっせー…でも、颯だっているんだ。さっそく良い友達できてるじゃねぇか。な?」
「…うんっ!!」
千紘が笑顔になった。
―…良かった。
千紘が「泣き顔を他の奴らに見なれたくない」と言うので、3人で屋上に向かった。
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