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「てめぇ…あんま調子のってっと泣かすぞコラ。」
「おわっ、」
ドサッ
ソファの上に放り投げられ、洸が俺の上に跨った。
うーん、簡単に放り投げられる当たりが実に切ない。
「…何で平気な顔してる?」
何でって言われても…
だって洸だし。
「そりゃあ、変態オヤジや怪しいお姉さんなら慌てるよ。」
「前にそういう事あった訳?」
「あはは。数え切れないくらいね。」
ちょっと1人で街を歩くと、すぐ男女問わず連れて行かれるのでたまったもんじゃない。
洸の眉間にシワが寄る。
「俺に殴られるとは考えねーの?」
「思わない。」
真っすぐ洸の瞳を見て答えたら、洸が一瞬驚いたような顔をした。
「何で…俺が怖くねーの?」
「はは。怖かったら、さっきみたいに冗談言えないよ。」
「じゃあ、何で怖がらない?」
さっきから質問ばっか。
でも洸の瞳が何だか寂しげで…
真剣に答えなきゃって思った。
「洸の事をナメてるとかじゃなくて…洸が優しいって分かるから。だから怖くないんだ。」
「俺が、優しい?」
心底信じられないというような顔をする。
「うん。」
洸は優しい。
気付いてないの?
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