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しばらくお互いの顔をジッと見つめ合った後、はぁっと溜息をついて洸が離れた。
「無自覚なお前に忠告。」
「?」
俺も体を起して洸を見る。
「1つ目。襲われてる最中に相手の服なんかにしがみ付くな。アレ、可愛いから逆効果。」
「なっ!? ////」
「2つ目。中途半端な抵抗は余計火がつくんだよ、バカ。俺はともかく、他の奴からは全力で逃げろ。」
ヤバイ…
洸の言っている意味が不明だ…
大体なんで洸はいいわけ?
「んで最後。あんな顔で見つめるとか何考えてんだよ。誘ってるとしか思えない。」
あ、あんな顔って…
―…どんな顔だ?
「分かった?」
うーん、正直よく分かんない。
けど意味不明な説教はもう嫌なので、取り合えず頷いておく。
「はー…本当に分かってんのかよ、お前。」
洸が俺の頭をわしゃわしゃと雑に撫でる。
そんな手からも、優しさを感じて温かな気持ちになる。
「分かったよ。洸は優しくて、ドSで、変態だから気を付けろって話だろ?」
うん!
そうに違いない。
「何でそーなるんだよ!?ドヤ顔してんじゃねーよ、このバカ!」
「な、バカって言った方がバカだ!!」
「小学生かお前は!?」
「洸だって人の事言えないだろうが―っ!」
ガラッ
「なに低レベルなケンカしてるんですか、みっともない。」
取っ組み合いをしていた手を止めて入口の方を見ると、弘斗が呆れた様子で俺達を見ていた。
「おう、弘斗。遅かったな。」
「まぁね。で、僕が先生と長々話している間、洸は何してたんですか?」
「あ~…昼寝とスキンシップ…?」
「へーぇ?それは楽しそうですね。」
ニッコリ笑顔の弘斗。
洸の顔色がどんどん悪くなる。
「唯人君、ちょっとおいで。」
「? うん。」
「あっ、バカ待て!」
洸の制止を無視して弘斗に近づく。
だって断ったら―…何か怖そうだもん。
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