美術準備室

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ふうっと息をついて俺の方へ向き直す。 もうドス黒いオーラは消えていた。 「まぁいいでしょう。それより唯人君。」 「ん?」 弘斗が身を屈めて小声で話す。 なんだ、内緒話か? …なんて呑気な事を考えていた俺は、次の弘斗の言葉で硬直した。 「君、随分カワイイ声で啼くんですね。」 「!!!!?」 コイツ、まさかっ―… 「全部見させて頂きました。唯人君、敏感にも程がありますよ?」 ニッコリと笑う弘斗。 背後には再び黒いオーラが… あ、悪魔だ… ドSとかそんなもんじゃない。 めっちゃ笑ってるけど、弘斗は悪魔だ! 「今度、僕にも聞かせて下さいね?」 「…っ!」 耳元で囁かれ、身を固くした瞬間―…洸に引き寄せられた。 「コイツ苛めていいのは俺だけだ。」 いやいや。 助けてくれた事には感謝するけど… 洸にもそんな権利は無い! つーか、さっきまで弘斗にビビってたのに…刃向かって大丈夫なのか? 洸と弘斗が静かに睨み合う。 え、もしかしてケンカ? 俺が焦っていると、急に弘斗が吹き出した。 「クスッ、冗談ですよ。洸が珍しくムキになっているので、つい…ね。」 ね。じゃねーよ! 洸をイジるために俺を使うな!! 「唯人君もすみません。」 まぁ弘斗が腹黒なんて、初めから分かってたし… 「別にいいけどっ。」 「ありがとうございます。お詫びにコレを…」 「…コレって…鍵?」 お詫びと言って手渡されたのは、学校で使用されている鍵。 どこの教室のだ?
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