エプロン少年と変態さん

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「ところで姫川。お前、授業中ずっと寝ているらしいな?」 ギクーッ!!! や、ヤバイ。 いつか注意されるだろうとは思っていたが… 「毎時間、休み時間も寝っぱなしなんてどうした?よっぽど疲れてるのか?」 「えー?でも授業サボるよりマシでしょ?」 「聞いてなかったら一緒だ。」 それは違う! サボって寝たら出席点がつかないが、教室で寝れば参加した事になる! つまり同じ睡眠時間を得ながらも、進級する事が出来るのだっ。 「はぁ。少しは授業を聞け。各教科の先生方が泣いていらしたぞ?」 「あちゃー。それは気の毒だ…」 俺が寝てるのは決して先生方の授業がつまらないからじゃない! 「全く…夜更かしして悪さしてるんじゃないだろうな?」 「まさか!ちゃんと家に居るよ。」 「はは。冗談だ。さ、掃除頑張って来い!」 「うん!ありがとう、竹ちゃん。」 「2人の時も竹中先生と呼べ。…何かあったらいつでも来なさい。」 「何も無いよ。じゃ、ありがとうね。」 ガラッ 「失礼しました―っ」 職員室を出て部室に向かう。 廊下を歩きながら、さっきの会話を思い出す。 「さすがに朝から夕方まで寝っ放しは異常だよねー。」 竹ちゃんに心配をかけてしまった。 うん、気をつけねば。 でもまぁ、眠いものは眠い。 先生達が悩み過ぎてウツになっては大変だ。 「次からは少し頑張るか…」 それにしても竹ちゃんには癒される。 注意されてんだけど、その奥に優しさとか心配が見えるから、竹ちゃんの説教は苦じゃない。 むしろ嬉しいんだ。 なんだろなー、この感じ… ぽかぽか陽だまり、みたいな。 「お父さん的な?…いや、それよりもっと…あ、おじいちゃんだ!」 俺の中で竹ちゃんは『おじいちゃん的存在』というポジションに収まった。
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