エプロン少年と変態さん

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ガラッと美術室の扉を開ける。 「ただいまー。」 「あっ、おかえりー唯人。」 テーブルに腰かけている新が片手をヒラヒラさせて笑っている。 「あれ、今日は来たんだ。」 新と湊はほとんど一緒に行動している。 で、毎日ケンカだとかで、ほとんど美術部に来ない。 部として活動していないから、来るか来ないかは個人の自由らしい。 「ケンカもほどほどにな。」 怪我でもしたら大変だ。 「んお?心配してくれてんのか―!?可愛い奴め!」 ガバッ 「わっ、離せ―っ!」 思いっきり抱きついて頭を撫でられる。 「ちょっとやめろよっ。」 「まだまだ~♪」 コチョ 「うひゃあっ!?」 頭から手が離れたと思ったら、横腹をくすぐられた。 や、ヤバイ… 「お?唯人ってもしかしてー。」 ニヤッと笑う新。 俺は後ずさりながら涙目で「違う」と全力で首を横に振る。 だ、ダメだ… 俺はマジでっ―… 「おりゃっ♪」 「わーッ!!あははははっ…やめ、ひゃあぁっ。」 コチョコチョに弱いんだ―ッ!!!! 一向に止まる気配のない新の手。 「あはっ、はははっ!はははは。」 静かな部屋に俺の狂ったような笑い声だけが響く。 マジ無理! 誰か助けろよオイッ。
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