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「何でそんなこと!!」
柊斗がショックを受けたようで、瞳に怒りを浮かべながら双に詰め寄る。
「……」
「条件はみんな同じだろ!?なのに、俺らに来る敵を減らそうとしたって、何で!!」
「…死んでほしくないから」
「っ…」
双は顔を上げて、真っすぐに柊斗の目を見て答えた。
嘘も、偽りもない視線で、怒りは消えていった。
「でも…捕まったらお前が死んでたかもしれないんだぞ!?」
「皆が死ぬより、よっぽどマシだよ。
私だって死にたくない。生きて現実世界に帰りたいよ。
でも、それ以上に、…皆に死んでほしくないの」
それだけ言うと、また俯いてしまった。優は、双の腕を放した。
今まで会話したこともなかったのに、他の4人と同じ様に思われている。
それが、優から双への怒りを奪っていった。
「…もう、二度とすんなよ。俺らだって…お前に死んでほしくないんだよ」
「……ごめんなさい」
優は、双から離れた。
重くなってしまった空気を破ったのは翔亜だ。
「えっと…喋ってもいいか?」
誰も何も言わなかったが、全員がこちらを見た。それを肯定と受け取って話し出す。
「執拘部に追い出されるか、敵に見つかるかするまで、俺たちはここに籠ることになる。
それで提案なんだが、一人一部屋で基本は生活して、朝起きた時と、昼飯と、晩飯の時に、
絶対この部屋に集まることにしよう。まあ、特に意味はないんだがな」
了解、と全員が頷くのを見て、部屋割りを決めた。
この大部屋から見て、右側の3部屋に翔亜、柊斗、双。左側の3部屋に玲二、巽、優になった。
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