三章《settle down》

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「あああ!!」 「おい高野、少しは落ち着けよ」 玲二はずっと苛々としていた。 壁などを蹴っ飛ばしては、仲間に落ち着けと言われる。 この建物に籠り始めてもう3日になるが、もう何回このやり取りをしただろうか。 何を蹴っても怒鳴り散らそうとも、苛立ちは治まらない。 自分でも、原因がわからないから仕方ないのかもしれない。 というか、原因が馬鹿みたいに思いつくから、どれが本当の原因なのかが解らない。 地下だから窓もない。無性に太陽の光が浴びたい。 原因はこれかもしれない。 仲間が自分の苛立ちは治まらないものだと諦めて、怒鳴ったり蹴ったりしたらとりあえず「落ち着け」というようにしているのかも、と疑いを持つ。 原因はこれかもしれない。 訳の解らんゲームに参加させられて、おまけにロストしたらそこで人生がお終いだとか。 これこそが原因かもしれない。 このゲーム、妙に用意がいい。着替えとか、風呂上がったらそこに置いてあったし。 しかもサイズがぴったりと来た。気味悪い。 ご飯も心配なかった。朝、昼、夜に食事が出てくる。 しかも好き嫌いまで把握しているらしく、前出て来たカレーに玉葱が入ってなかった。 これも原因になり得るだろう。 いや、苛立ちの原因は、一つとは限らないかもしれない。 柊斗がいつまでも昼の集まりに来ない。朝も来なかった。昨日は心配して部屋に様子を見に行ったら爆睡していた。 心配するだけ無駄だ。 巽はずっとゲームしたい、とかしか言わない。 俺らゲームに参加させられてるから!! 優がずっとぶつぶつと呟いている。気になって聞き耳を立てたら、ゲームの術の詠唱を暗唱していた。 その記憶力怖えーよ。 翔亜は…何故か自分の手の爪をガン見している。昨日は裸足になって足の爪を見ていた。 とりあえず怖えーよ。何やってんだよ。
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